こんにちは、トムです。
活字が苦手な私ですが、月に1冊はビジネス書を読むように頑張っています。
先日、「NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX」を読了しましたので、内容を紹介したいと思います!
目次
NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX
本書はNETFLIXの創業者リード・ヘイスティングスと世界トップクラスのビジネススクール欧州経営大学院の教授エリン・メイヤーによって執筆されました。
世界トップクラスの配信事業者となったNETFLIX社の文化について掘り下げた一冊で、米国では2020年9月、日本では翻訳版が翌10月に出版されました。
組織マネジメントにおけるエッセンスが凝縮されており(実行可能かどうかはさておき)、本記事を執筆中の2021年6月20日現在もなお、Amazonの書籍(経営学・キャリア・MBA)にてベストセラー1位になっています。
一流グローバル企業が持つ独自の文化
世界有数の一流企業には往々にして独自の文化が存在します。
例えばAmazonではリーダーシッププリンシプルというものが公開されており、ここに記載されている14項目のキーワードが各社員の行動指針となっているのです。
出所: Amazon リーダーシッププリンシプル https://www.amazon.jobs/jp/principles
14項目の内、最初に記載されている言葉が「Customer Obsession (顧客中心主義)」。これはAmazonの企業文化を特に強く表しているもので、送料無料、翌日配達、低価格、幅広い品揃えといったAmazonにおける購買行動を代表するこれらの要素は企業文化に裏打ちされたものとなっています。
NETFLIXが公開するカルチャーデックとは
2009年に本書の著者でもあるリード・ヘイスティングスCEOがカルチャーデックと呼ばれる127枚の資料をネットで公開して以来、多くのビジネスパーソンや学者がNETFLIXを語るにあたり引用を繰り返してきたとのことです。
スライドの内容はこちらでご覧頂けます。 https://www.slideshare.net/reed2001/culture-2009
本書はこのカルチャーデックにて述べられている内容について、実際の社員の事例もピックアップしながら説明がされています。
その中でも私が印象に残ったのは下記の内容です。
ドリームチーム
NETFLIX社は一流の人材の獲得に努め、ドリームチームを結成することを堂々と掲げています。
ドリームチームの一員であるスタープレイヤーには一流の報酬を支払う一方、並みのパフォーマンスを発揮するプレイヤーには十分な退職金を支払う(つまり退職してもらう)というなかなか刺激的な表現をしています。
自由と責任 (Freedom and Responsibility)
なんと驚くことにNETFLIXには就業規則がないとのことです。(もしかしたら最低限はあるのかもしれません)
本来であれば従業員の行動を律するためにどの企業も設けているものですが、制約はイノベーションを阻害する、という考えのもと導入がされていないのです。
一般的な企業の就業規則には社員の就業時間(9時-17時など)や休暇制度、出張時や会食時の経費ルールや禁止事項などが記載されているものですが、NETFLIXにはそれらに該当するものが一切ありません。
求められるパフォーマンスを出していれば働く時間は何時でもOK、何日でも休んで良いというのが基本スタイル。(チームによっては調整が必要な場合ありとのこと)
リード・ヘイスティングスCEO自らもこのカルチャーに則り、年に何回も仕事から離れてバカンスに出かけているとのこと。企業組織に所属する者としてはトップが自ら率先して企業カルチャーを実践してくれていることはありがたいですね。笑
また、経費についても「NETFLIXの利益のためになっているか」という考えに合致していれば特段の制約は無いようです。
経費の不正利用にいちいち目を光らせてもビジネスの効率性は上がらないので、社員それぞれの判断に委ねるというスタンス。一方、もしも会社の利益に反するような不正(経費の私的流用等)が発覚した際には即刻解雇が待っているようです。
さらに、ビジネスにおける意思決定・実行の際は役職にかかわらず上司の承諾は特に必要ないとのことです。
社員1人1人がオーナーシップ(当事者意識)を持って業務を執行するため、また上司に気に入ってもらえるアイディアでは無く、会社の成長のためのアイディアを提案実行してもらうために承認は不要としているとのことでした。
一般的な企業では、上司の承認→部長の承認→部門長の承認→社長の承認といったような何重もの承認プロセスがあるものですが、このプロセスにかかる時間ロスを排することでスピーディーな実行に繋げられているようです。
そんな中でどんな判断のもとにもコンテキスト(理由・背景)の説明が求められるとのこと。後述する社内からのフィードバックでは様々なコメントが来るため、その説明が求められるようです。
自由を与えられる代償として、責任も同時に社員は背負っているのです。
360度フィードバック
「上司にもフィードバックを与えよ」というのがNETFLIXのポリシーです。
著内では海外出張時に取引先に対して不遜な態度をとった上司を戒める部下や、社内会議におけるヘイスティングスCEOの発言内容を指摘するディレクターのメール内容などが紹介されていました。
日本企業だけではなく、多くの米国企業にとって上司に対して部下がフィードバックを与える、というのはあまりない慣習かと思われます。
上司からのフィードバック面談、というのは年に数回、どこの企業でも設けられているかと思いますので、その光景も想像することが容易いですが、その逆はなかなかイメージが難しいですね。
しかも良いこともそうではないことも率直に伝えよ、となっているので日本の文化に長く浸かってきた人たちにはなかなか難しい内容かもしれません。
「部長、さっきの会議でのご発言は少し高圧的な態度に感じられました。佐藤さんが提案してくれた内容は素晴らしいものだと思いましたが、部長のコメントで彼は萎縮してしまいましたよ。」
なんてこと、よっぽど勇気を持たないと言えないですよねwww
しかしながらネガティブなフィードバックこそパフォーマンスの向上につながるものであり、それこそが企業の成長につながっていく、というのがヘイスティングスCEOの考えであり、彼は自ら進んでフィードバックを周囲に求めているとのことでした。
また、先ほど説明した「自由と責任」の中でビジネスの意思決定に上司の承認は必要ない、と述べましたが、代わりに社内からのフィードバックを求めることはできます。
社員はフィードバックの内容を吟味した上で、必要に応じて自身の判断でアクションに修正を加えていくとのことでした。
終わりに
以上が私が特に印象に残ったNETFLIXのカルチャーとなります。
中々私が暮らす日本社会の中で実現させるのは難しそうなものもありましたが、本質的な考え方には共感できるものがいくつもありました。
本当はまだまだご紹介したいNETFLIXのカルチャーが沢山あるのですが、、、そちらにつきましてはぜひ本書をご購入いただきご自身で中身をご覧いただければと思います。
ご覧いただきありがとうございました!